日本の名作を読む 第5講−2 源氏物語

簡単なまとめ

この動画では、光源氏が永遠に憧れ続けた藤壺と、後に妻となる紫の上との関係について解説しています。光源氏の母に似た藤壺への思慕、元服を経て変わる関係性、そして紫の上との出会いと育成を通じて、光源氏の複雑な恋愛遍歴と人間関係が描かれています。

  • 光源氏は母に似た藤壺に強く惹かれる
  • 元服を機に藤壺との間に距離ができる
  • 紫の上を理想の女性として育成する

藤壺への憧憬

光源氏は、亡き母である桐壺更衣に生き写しの藤壺に、幼い頃から特別な感情を抱きます。母の面影を重ねる光源氏は、藤壺を慕い、常にそばにいたいと願います。原文では、光源氏が藤壺に対し「いとあはれ」という感情を抱く様子が描かれています。「あはれ」とは、心がジーンとするような、心の奥底から湧き上がる静かな感動を意味します。光源氏は、藤壺に対し、一時的な感情ではなく、心の底から惹かれる思いを抱いているのです。

元服と御簾の隔て

12歳で元服し大人になった光源氏は、藤壺への恋心を自覚するようになります。しかし、父である桐壺帝の妻である藤壺とは、決して結ばれることのない関係です。元服前は自由に出入りできた藤壺の御簾の内側も、元服後は許されなくなります。御簾は、二人の間にできた越えられない壁を象徴しています。光源氏は、藤壺と音楽を通して心を通わせたり、彼女の声を聞くことを慰めとして、宮中での生活を好むようになります。紫式部は御簾という小道具を使って、元服前と元服後の二人の関係性の変化を巧みに表現しています。

どんな YouTube 動画も数秒で要約

無料の Summ アプリなら、どんな動画でもこのような要約をあなたの言語で作成できます。

App Store からダウンロード
Google Play で手に入れよう

文字起こし

「日本の名作を読む 第5講−2 源氏物語」の文字起こし全文です。タイムスタンプをクリックすると、その場面から動画を再生できます。別の動画なら YouTube 文字起こしツールをご利用ください。

0:00 さあ、最初はね まず、藤壺から見ていきましょうね 藤壺はもう光源氏が永遠にあこがれ続けた人物ですね 先程申しましたように、お母さんに似た人としてまず登場します 桐壺更衣が亡くなった後ですね 源氏の実のお母さんが、亡くなった後 帝は更衣に生き写しの藤壺を妻とするということだから お父さんも同じように妻に似た人を好きになっているんですけれども 藤壺を奥さんとすると それで、亡き母に似るという藤壺を源氏は慕うと さあ、そこのシーンを原文でちょっと読んでみましょうね 「母御息所も、影だにおぼえたまはぬを、」と

0:45 自分のお母さんのことだね、これは桐壺のことですね 桐壺更衣のことも、ということですね それも、影ほどにも覚えていないということですね だから、光源氏は言ってもまだ幼いから 自分のお母さんのことはあんまりはっきり覚えていない訳ですね だから、光源氏は母のことを覚えていないと お母さんがどんな顔だったかとかいうことをですね あんまり覚えていないんだけれども 「いとよう似たまへり」とても似ているのよ、という風に

1:34 典侍が申し上げるということですね この典侍というのは、桐壺更衣のことを知っている人なんですね お母さんのことを知っている女官なんですね お仕えしていた人ですね、その人が 「ああ藤壺様は、桐壺さんによう似てはりますよ」 という風に申し上げたと そういう風に聞いて光源氏はですね 「若き御心地にいとあはれ」という風に思ったと まだ光源氏は若い、子供な訳ですね 「子供心にも」ということですね 「いとあはれ」という風に思い申し上げるようになったと 思うようになったんだ、ということですね

2:25 この「いとあはれ」というこの気持ちは どういう風に思ったんでしょうか ちょっとその後を見てみましょうね 光源氏は子供心に母親に似ているという藤壺のことを 「いとあはれ」という風に思って 「常に参らまほしく」いつもおそばにいたいという風に思う訳ですね そして「なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ」と 何かちょっと敬語がいっぱい 「たてまつる」とか「たまふ」とか「きこえ」とか いっぱい出てくるからね それで、あまり拒否反応を起こさずに 分かる単語を拾っていけばいいですからね いつも参りたい、参上したいと いつもおそばにいたいということだよね そして「なづさふ」というのはこれは 「なれる」「なれ親しむ」「なれむつぶ」ということですね

3:21 藤壺と親しくなりたいなという風に思うようになったんだと 思いなさるんだということですね さあ、いつも何かそばにいたいなという風に思ってしまう そういう気持ちになる「いとあはれ」なんですね 「いと」はとても、大層ということですね 「あはれ」というのは、高校の受験の古文なんかでは しみじみと、という風に言いますよね それで、趣深いとかいう風に言うんだけれども 「あはれ」というのは、しみじみというニュアンスがあるんですよ という風に覚えさせられるといいますかね 教えられますよね このしみじみというのは何なのかということなんだけれども

4:07 しみじみというのは、何となくですね これはもっと別の言葉で言うと、心がジーンとするという感じ 感動するというか、心の奥底がですね ジーンとこう震えるような感じ それがしみじみなんですね だから、それはとてもアクティブな感じではなくて ジーンと心の奥底、奥深いところに 静かにこう感動が響いてくるような感じ それが「あはれ」ということなんですね だから、心の奥底から、浮ついた気持ちとかではないんですね この光源氏がお母さん、藤壺のことを思うのは 浮ついた気持ちで、一時の感情で思っているのではなくて

4:53 心の奥底の方から「あはれ」と しみじみと、藤壺さんにですね 何か惹かれるなあと、心が惹かれるなあ だから、いつも心だけではなくて 自分の体もいつもおそばにいたいな、というね そして、なれ親しみたいなあという風に思うと そういうニュアンスですね それが「あはれ」という感覚ですね、ジーンとしていると さあ、そういう光源氏とですね この藤壺ですけれども、藤壺が桐壺に生き写しということなので 自ずと、藤壺と光源氏も似ているように見える訳ですね それが次のシーン、こういう風に描かれます

5:40 桐壺帝も、光源氏と藤壺が本当の親子のように 顔つきや眼差しが似ていると言い 藤壺に光源氏のことを可愛がって欲しいと頼むと お父さんは、まさか光源氏がね、藤壺のことを好きになって その後、密通するなんて思っていませんから 普通に親子としてですね、仲良くしてやってくれと お母さんを小さいうちに亡くしてしまった息子のことを 可愛がってあげてくれという風に言うんだけれども これは後になってみると 何か罪作りなことをするんですけれども という風に頼む訳ですね それで世間の人は この二人を「光る君」「かがやく日の宮」というように並べてね 呼ぶようになります

6:26 さあ、そこのところは原文ではこういう風に書かれています やはり光源氏の匂うような美しさはたとえようもなく 「世の人光る君と聞こゆ。」と 世間の人は「光る君」という風に申し上げると 藤壺もそれにお並びになって、並んで 桐壺帝の御寵愛もそれぞれに厚いので 「かかやく日の宮」これは輝くということね 「かかやく日の宮」という風に申し上げると 「光る君」「かかやく日の宮」という風に二人が並べられて 世の人が称賛するようになると それはやっぱり光源氏にとっても嬉しいことなんですよね そういうシーンも描いています さあその後、光源氏は十二歳で元服、大人になっていく訳ですね

7:14 次第に藤壺に対する恋心を自覚するようになっていく光源氏であったと その自覚のさまを読んでみましょう 下段ですね 「心の中には、」光源氏の、ということですね 光源氏は心の中で 「ただ、藤壺の御ありさまをたぐひなし」という風に思うと 藤壺のことをですね「たぐひなし」と 「たぐひ」というのは、これは類という漢字を書きますね だから、藤壺と同じような人は他にはいないということですね 藤壺しかいない、他にこんな人はいないという風に思う訳ですね

8:08 藤壺に代わる人はいないという風に思うと、そして 「さやうならむ人をこそ見め、似る人なくもおはしけるかな」 という風に思うと そういう人、ということですね そういう人をこそ見たいと 「見る」というのは、これは結婚の意味があるというのを 『伊勢物語』の時にやりましたね かぐや姫の時にもやったね だから、そんな人ということですね そのような人が直訳ですけれども これは具体的には、藤壺ということですよね 藤壺のような人と結婚したいと それで、これは何となくぼんやりと思っているだけではなくて 「こそ」という、やりましたねこの授業で

8:57 強意している訳ですね 「こそ見め」というのは、これは強意の係り結びでしたね だからもう強く思っている訳ですね 藤壺みたいな人と結婚するんだったら、藤壺と結婚したいと 「似る人なくもおはしけるかな」他に似ている人はいないな、とね 「たぐひなし」と同じことですけれども 他に代わる人はいないという風に思うと ただ他に、藤壺とは結婚できないし 藤壺のような人はいない訳ですよね だから、「いと苦しきまでぞおはしける」と叶わない訳ですね

9:44 藤壺が愛おしいんだけれども、藤壺とも結婚できない それで、藤壺に似た人もなかなかいないということで もう悶々としてしまう訳です それを「苦しきまでぞおはしける。」と もう苦しいほどに恋心が募ってしまう訳ですね そういう風に、光源氏の中で藤壺に対する思いというものが どんどんどんどん高まっていく 叶えられない思いが高まっていく訳ですね しかし、やっぱりねお父さんの、ということがあって 二人の間にはもう越えられない壁がある訳ですね しかし、元服した光源氏と藤壺の間には越えられない壁があったと

10:32 それが御簾というものなんですね こういう風に書いております 「大人になりたまひて後は、ありしやうに、御簾の内にも入れたまはず」 という風に、紫式部は書くんですね 大人になってからは 「ありし」というのは過去の、ということです 以前のということですね、以前のように、幼かった時 元服する前はということですね 子供だった時は、御簾の中に入ることができたのに もう大人だからということで 男女はもう一緒に同席できない訳ですね 隔てがある訳です それが御簾という、この『あさきゆめみし』を挙げましたけれども これですね、何か「すだれ」みたいなものですけれども

11:22 この内にもお入れにならないと 前はね、入っていけたんだけれども 入ることができないという風になる訳ですね 「御遊びのをりをり、琴笛の音に聞こえ通ひ、 ほのかなる御声を慰めにて、内裏住みのみ好ましうおぼえたまふ。」と 古文の「遊び」というのは、これは音楽の遊びなんですね 管弦の遊びをした時に「琴笛の音に聞こえ通ひ」ね これはどういうことかというと お琴を藤壺が弾く訳ですね

12:11 それで、笛を光源氏が吹く訳です それで、音を通わせるということですね 合奏と言いますかね 一緒に音楽をすることによって、音楽で心を通わせ合うということですね そして、そういう時々に、ほのかに藤壺様の声が 誰か、女房とかに話している声が聞こえてくると それを慰めにしていると だから、切ないね、なかなか直接にね 中に入って以前のように戯れることはできませんから そういう音楽のイベントの時に、一緒に音を重ねることで ちょっと藤壺と接触できたような気持ちになると

13:00 それでちょっと声が漏れ聞こえてくると それを心の慰めにしている だから、そういうチャンスがある 宮中にいたい訳ですね、光源氏としては だから「内裏住みのみ好ましうおぼえたまふ。」と 宮中にいること、ですね それを好ましく思うようになっていらっしゃると 光源氏にはね、左大臣家の姫という葵の上ですね そういう奥さんもいてるんですけれども 左大臣家には、なかなかあんまり足が行きにくくて この宮中にいて藤壺さんの気配を感じたいという風にね 光源氏は思っているんだ、ということですね それで、この御簾の隔てというね この「御簾の内にも入れたまはず」というこれがですね

13:49 紫式部が何気に書いたのかもしれないけれども この元服前と元服後の違いを表す 明らかに示す一つのアイテムですね 舞台設定としてこの御簾というものを盛り込んでいるというのが なかなか上手い書き方だなという風に思うんですね それでそれを漫画にしたこの大和和紀の 『あさきゆめみし』というのは もっとこれ上手いなという風に思うんですけれども 御簾がある訳ですね それで、藤壺がその御簾の中から 「元服おめでとうございます」という風にお声がけをするんですね それで「御簾をあげてはくださらないんですか」という風に言ったら 「もうあなたは元服して大人になったんだから…」という風に言って

14:38 ちょっとこの皆さんのプリントではコピーが悪くて見えないんですけれども ここに御簾があるんですね、御簾があって ここで隔てられてしまったなという風に書いている 漫画にすると、とてももっとドラマチックになりますけれども でもこの御簾の、何て言うんだろう、小道具と言いますかね そういうものは、もともとのこの『源氏物語』の中に 紫式部がちゃんと描いていることなんですよね こういう、物を使って二人の関係性を表すという これはやっぱり物語の創り方としては ちょっと高度な創り方なのではないかなという風に思うんですよね さあ、これが藤壺との関係

15:26 では、次は紫の上との関係は?というのを 続いてですね、見ていきたいと思います 一旦ここで切りますね

Share

その他の動画の要約